現場でpH計の値がおかしくなると、
「センサーが壊れた」
「校正しないとダメだ」
という話になりがちです。
もちろん本当に電極が劣化している場合もありますが、私の経験では、その前に確認したいことがあります。
それはガラス膜の汚れです。
pH計は何を測っているのか
pH計は薬液そのものを測っているわけではありません。
電極先端にあるガラス膜の両側で発生する微弱な電圧差を測定し、その電圧をpH値に換算しています。
つまり、測定の主役は薬液ではなく、ガラス膜です。
そのため、ガラス膜の状態が悪くなると、当然測定値にも影響が出ます。
「ガラスだから怖い」が落とし穴
pH電極は高価ですし、先端はガラスです。
そのため、
「割ったらいけない」
「強く触ったらダメだ」
という意識を持つ人が多いと思います。
これは間違いではありません。
しかし、その結果として、
「汚れを十分に落とせていない」
ケースをよく見かけます。
軽く水洗いしただけ。
表面を少し拭いただけ。
本人は掃除したつもりでも、実際にはガラス膜に汚れの皮膜が残っていることがあります。
校正で直そうとしてしまう
現場でよく見る流れです。
- pH値がおかしい
- 軽く掃除する
- あまり改善しない
- 校正を実施する
- うまく校正できない
- 電極不良と判断する
しかし実際には、ガラス膜に汚れが残っていただけということも少なくありません。
汚れた状態で校正しても、正常な状態には戻りません。
校正は故障を直す作業ではない
ここは重要なポイントです。
校正とは、
「正常なセンサーを基準液に合わせる作業」
です。
汚れたセンサーや異常なセンサーを直す作業ではありません。
センサー表面に汚れが残っている状態で校正を繰り返しても、根本原因は解決していません。
私がまず疑うこと
pH計がおかしいと感じたら、私はまず以下を確認します。
- ガラス膜に汚れが付着していないか
- 白いスケールが付いていないか
- 油膜が付着していないか
- 液絡部が詰まっていないか
- 電極が乾燥していないか
これらを確認したうえで洗浄し、それでも改善しない場合に校正や交換を検討します。
まとめ
pH計は薬液を直接測っているわけではありません。
ガラス膜で発生する電圧を測定しています。
だからこそ、
「ガラスだから触れない」
ではなく、
「ガラスだからこそ、状態をきちんと確認する」
ことが大切です。
そして現場で私が意識しているのは次の順番です。
洗浄 → 状態確認 → 校正 → 交換判断
この順番を守るだけで、不要な電極交換や無駄なトラブル対応を減らせることがあります。
Care Bridge Log ひとこと
校正は故障を直す作業ではない。
まず汚れを疑う。
現場では、この一歩が意外と大きい。
