ここまで、ボイラーで熱を作り、循環ポンプで熱を運び、熱交換器で熱を渡すところまで見てきました。
今回は、その温水設備には欠かせない「膨張タンク」についてお話しします。
ボイラー室や機械室の隅に設置されていることが多く、普段はあまり目立たない設備です。
でも、温水設備には欠かせない大切な役割があります。
最初は「何のために付いているんだろう?」と思いました
設備の仕事を始めた頃、私は膨張タンクを見ても、何をしている設備なのか分かりませんでした。
配管につながっている大きなタンク。
動いているようにも見えません。
そのとき素直に思ったのが、
「これ、何のために付いているんだろう?」
ということでした。
設備には、一つ一つ意味があります。
膨張タンクも例外ではありません。
水は温めると少しだけ膨らみます
水は温めると、ほんの少しだけ体積が大きくなります。
コップ一杯の水なら気にならない変化でも、ボイラー設備では大量の温水が循環しています。
そのため、わずかな変化でも設備全体には影響が出てきます。
逃げ場がなければ圧力が上がります
配管の中は温水で満たされています。
そこへ膨らんだ水が増えると、行き場がなくなります。
すると、その分だけ配管の中の圧力は高くなっていきます。
設備は、この圧力の変化も考えて設計されています。
膨張タンクは「逃げ場」を作っています
膨張タンクは、温められて増えた水を一時的に受け入れるための設備です。
温度が下がれば、水は元の体積に戻ります。
その変化を受け止めることで、配管や機器に無理な力がかからないようにしています。
私は、この仕組みを知ったとき、
「なるほど。このために付いていたのか。」
と納得しました。
目立たない設備ですが、とても大切な役割をしています。
私は「何のために付いているのか」を考えます
現場には、一見すると何をしているのか分からない設備がたくさんあります。
私は初めて見る設備では、
「これ、何のために付いているんだろう?」
と考えるようにしています。
そうやって設備を見ていくと、一つ一つの部品や機器には、ちゃんと意味があることに気付かされます。
膨張タンクも、水が温められて膨らむことで起こる圧力の変化を受け止め、設備全体を安定して運転させるために付いている設備なのです。
今日のポイント
水は温めると少しだけ膨らみます。
膨張タンクは、その変化を受け止めるために付いている設備です。
設備を見るときは、「名前」ではなく、「何のために付いているのか」を考えると、設備全体が見えやすくなります。
次回予告
ここまで、ボイラー・循環ポンプ・熱交換器・膨張タンクと、それぞれの役割を見てきました。
では、これらの設備は実際にどのようにつながり、建物を暖めているのでしょうか。
次回は、このシリーズのまとめとして、ホテル設備を例に「ボイラーで作った熱は、どうやって客室まで届くの?」をテーマに、設備全体の流れを一緒に見ていきたいと思います。
