■ 症状
漏電ブレーカーが落ちる、または落ちた後に復帰しない
■ 最初に結論
漏電ブレーカーが落ちた場合、
👉 電気温水器のヒーター絶縁不良が原因のことが多い
👉 ただし水分が絡むケースと被覆劣化が絡むケースがあり、原因はひとつではない
■ ① まず確認すること(聞き取り)
電気温水器は基本的に深夜電力で沸き上げを行うため、
👉 トラブルの瞬間に立ち会うことは難しい
👉 朝に気づく、というパターンがほとんど
聞き取りのポイント
・いつ気づいたか(朝?夜中?)
・過去に同じことがあったか
・最近、機器の周囲で片付けや工事はなかったか
👉 周囲の状況変化は、相手を疑わない姿勢でさりげなく確認することが大切
👉 工事業者の作業や、物が倒れて配線に触れたなど、外部起因の可能性もある
■ ② 主な原因
① ヒーターの絶縁不良(最多)
経年劣化によりヒーター素管の絶縁が低下し、
通電時に漏電が発生してブレーカーが作動する。
👉 特に10年以上の機器で起きやすい
② 保温材の吸水+経年劣化による多重原因
タンク周囲の保温材が水分を含んだ状態で長期間使用されると、
👉 絶縁不良が加速する
👉 ヒーター単体ではなく、水分と劣化が重なって起きるケースも多い
③ 配線被覆の劣化による直接接触
水分とは関係なく、
配線の被覆が剥けて機器の金属部分に直接触れることで漏電するケースもある。
👉 目視で被覆の状態・配線の取り回しを確認する
④ 端子台・配線周りへの水分侵入
結露・漏水などにより端子台が腐食し、絶縁低下が起きるケース。
■ ③ 現場での確認
⚠️ はじめに強く伝えたいこと
この作業は、電気の実務知識と経験が確実に伴う人が行うこと。
免許の有無だけが判断基準ではない。
絶縁抵抗測定(メガー)は、使い方を誤れば機器を破損させる。
壊れるのが自分の道具だけなら自己責任で済むが、
お客様の財産に損害を与えることは、修理者として絶対に許されない。
自分の技術レベルを正直に見極めた上で、作業に臨むこと。
電気温水器の漏電ブレーカーが落ちている場合、
👉 メガー(絶縁抵抗計)で各部位の絶縁抵抗を測定し、原因箇所を特定する
確認の優先順位
- ヒーター部の絶縁抵抗(最も多い原因)
- 端子台・配線周り(水分侵入・腐食の有無)
- 保温材の状態(吸水による絶縁低下の複合原因)
⚠️ 測定時の注意
ヒーター部(動力系)と制御部の端子台・配線では、
👉 系統も測定電圧も異なる
誤った電圧で測定すると、制御基板などの精密部品を破損させる恐れがある。
具体的な測定電圧や手順については、
各機器のメーカー資料・電気設備の専門知識を必ず確認した上で対応すること。
■ ④ 本体交換は本当に必要か?
現在稼働している電気温水器のタンクは、
👉 ほぼSUS(ステンレス)製であるため、タンク本体が致命的に損傷するケースは少ない
かつて電気温水器が普及し始めた頃は鋼板製タンクも存在し、
防食対策の限界を超えたものがタンク穴あきなどのトラブルを起こしていた。
現在、本体交換が現実的になるのは
👉 制御部品を中心に、メーカーからの部品供給が止まる頃
それまでは、修理で対応できるケースがほとんど。
■ ⑤ 現場の本音
部品供給が止まっても、「それでも直してあげたい」と思うのが現場の気持ち。
ただし、一般のお客様にとって古い機器を使い続けることは不安が大きいのも事実。
👉 お客様には状況を正直に説明し、判断は委ねる
👉 自分の設備であれば、より優れた設備を導入するまで使い続ける、というのが個人的なスタンス
■ まとめ
・漏電の原因は水分と被覆劣化の2系統がある
・深夜沸き上げのため、トラブル瞬間の特定は難しい
・聞き取りでは周囲の状況変化も丁寧に確認する
・保温材の吸水+経年劣化という複合原因もある
・現場作業は電気の実務経験が伴う人のみが行うこと
・現行のSUSタンクは致命症になりにくい。交換検討は部品供給停止が目安
■ 現場の一言
水と電気が絡むトラブルは、
焦って復帰させるより、原因を丁寧に切り分けることが最優先です。
